ごあいさつ
第47回 日本小児臨床薬理学会学術集会 大会長 山本 康次郎 (群馬大学大学院医学系研究科 教授/医学部附属病院薬剤部長) |
この度、第47回日本小児臨床薬理学会学術集会を令和2年9月25日(金)~27日(日)の3日間の日程で、昌賢学園まえばしホ-ル(群馬県前橋市)において開催させていただく運びとなりました。
本学会は、昭和49年に「発達薬理学およびその関連領域の研究の進歩とその普及をはかり、小児の健康とその福祉に寄与すること」を精神に発足し、「小児薬物治療に焦点を当てた、職種及び専門診療科を越えた学会」として、薬物治療学、臨床薬理学、臨床薬学、薬剤疫学、レギュラトリーサイエンス等の観点から、小児科領域の各種疾患において使用される医薬品についての医学・薬学的な検討、医薬品評価・開発の推進、適応外使用問題・未承認薬問題解決、医学・薬学教育などに取り組んでおります。
近年、IoT、ロボット、AI、ビッグデータといった社会の在り方に影響を及ぼす新たな技術が急速に進展し、世界を取り巻く環境は大きく変革しつつあります。経済の発展のトレードオフとして温室効果ガス排出の増大、経済格差の進展、食料不足などの問題が発生し、医療関連分野では寿命の延伸の結果として高齢化が進んでいます。このような経済発展と社会的課題の解決を両立する手段として、先端技術を産業や社会生活に取り入れたSociety 5.0の実現が期待されています。
医療の分野において、特に小児・救急・周産期医療などでは、医療資源の絶対的な不足など、先端技術の導入のみでは解決し得ない課題も多く残されています。しかし、超高齢社会における医療コストの増大、労働人口の減少、地域格差等の課題を解決するためには、ロボット化、AIによる診断、遠隔医療の導入などによる医療全体の効率化が必須であり、小児医療領域においてもさまざまな情報技術の活用が図られていくことは疑う余地がありません。この医療システムの変革の中で、小児医療がどのように対応すべきかを考える時間は、それほど多くないと考えます。
そこで、今回の学術集会では「Society 5.0で実現する小児薬物療法」をテーマに掲げて、先端技術の医療分野への応用を取り巻く話題を集めたセミナーや講演を開催します。先端技術の現状を知り、新時代における小児薬物療法の目指す方向を見定める端緒になればと思います。
また、全国から多くの一般演題も募集し、学会員の見識を深め、わが国の小児医療の発展に寄与したく存じます。本学術集会を他職種との意見交換・コミュニケーションの場としてご活用いただき、沢山の先生方に実りある学会となればと存じます。
多くの先生方のご参加を心よりお待ち申し上げております。